どうやってこんなに短時間で冷やしたのかと疑われるか
どうやってこんなに短時間で冷やしたのかと疑われるかもしれないが、それは適当にごまかすつもりのサキカである。サキカは再び“ボックス”を開くと、今度は盆を取り出して、プリンをそれに乗せた。ついでcosdermaスプーンも取り出し、盆の上に乗せる。そして、サキカは皆が待つ居間へと戻った。「……お待たせしました」部屋に戻ってきたサキカを、皆が振り返った。視線が集まる先はサキカの持つ盆だ。盆の上の物がプリンだと気が付いた途端、顔を輝かせたのはライティスと有舞とユリアス。ライティスはともかくとして、有舞とユリアスの二人は甘いものに目がないのだ。「うわぁ、プリンだ!!」嬉しそうに笑みを零しはしゃぐライティスを見て、サキカはふわりと微笑むと、一番最初にライティスの前にプリンとスプーンを置いた。そこからは時計回りに置いていく。全員の分を置き終わると、サキカは盆を“ボックス”に仕舞って席についた。その頃にはもう既にライティスがプリンを食べはじめている。「おいしい!!」満面の笑みを浮かべ、口の端にジャムをつけてプリンを頬張るライティスに、サキカはまた笑みを浮かべた。「流石はリュースね。相変わらず料理が上手だわ」イレーヌの言葉。母親に褒められて嬉しくないわけがなく、サキカは少し照れたように頬を赤くしてはにかんだ。その様子を見ていたガイアが、上を向いて鼻血を堪えていたのは、ガイアのみが知ることである。因みに、レイトやアーク、有舞、ユリアス、リリスがダメージを喰らわなかったのは、あまりに美味しいプリンに夢中になっていたからであった。.