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 「うううう……。口から心臓が飛び

 「うううう……。口から心臓が飛び出そうだ」口元を抑え、猫背になって歩くのは、青髪に垂れ目の少年――レイトだ。「大丈夫?」青白くなったレイトは、ど暗瘡針見ても大丈夫そうではなかったが。「だ、大丈夫だ。大丈夫、大丈夫、そう、きっと大丈夫……」自分に言い聞かせるように繰り返し「大丈夫」と呟き続けるレイトは、はたから見たら変人以外の何者でもなかったが、それを指摘するのは止めておいた。西の国の王は、王らしくない柔和な青年である。年齢はまだ二十代半ばと若く、『王様』というよりも物語の中の『王子様』というのがサキカの彼に対する第一印象だ。西の国の王との謁見の場にたどり着く。サキカたちのまえに立ちはだかる扉は華やかさに欠けるが、他のどの国の城の玉座の広間の扉よりも高価だろう。なぜなら、この扉に刻み込まれた――幻覚の魔法がかけられており、魔力が多かったり魔法に長けている者にしか見えないだろうが――魔方陣は、魔導機が発達した西の国の技術の集大成なのだ。そもそも、魔導機というのは、様々な魔方陣を組み込むことによって魔力で動くようにできた機械だ。つまりは魔導機が発達しているということは、魔方陣魔法が発達しているということを意味する。この一枚の扉に描かれた魔方陣はとても強力なものであり、ドラゴンのブレスですら防げる強固な護りの魔方陣だ。生徒たちは緊張のせいかぎこちない動作で制服を整え、こわばった顔で扉を見つめる。南の国の玉座の広間とは違い、扉の両側に立つのは甲冑兵ではなく赤い服の騎士。サキカたちが到着してすぐに扉の向こうへと消えていった一人の騎士が、戻ってきた。ゆっくりと扉が開けられる。「入れ」若い騎士に言われ、使者と先生を先頭に、足を踏み入れた。真っ白なタイルが敷き詰められただけであった廊下とは異なり、深紅の絨毯が敷かれている。壁にはタペストリーや初代王らしき人物の肖像画、天井にはシャンデリア。一見して豪華な印象を与えるような内装であるが、これにも様々な魔方陣が組み込まれているのだろう。.

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